【京都珈琲案内】第1回

【京都珈琲案内】第1回

【京都珈琲案内】第1回

今回、縁あってこちらにコラムを書かせていただくこととなった。普段は粛々とバンドマンをしているのだが、唯一趣味と言えるのが珈琲である。京都を中心に珈琲店を巡ってみたり、珈琲店のマスターに弟子入りして珈琲の抽出技術を磨いたり、自宅をカフェのように改造したりして楽しんでいる。詳しくは、下記自己紹介欄にあるブログを見ていただければと思う。

 

京都は珈琲の街だ。元々京都は昔から大学や自営業が多く、学業に勤しむ者や小売店の主人同士の情報交換に喫茶店がよく利用されていた。時を経て、珈琲自体が日本に完全に定着し、観光客、市民の憩い、アート、サブカルなど、顧客層がみるみるうちに多様になったため、現在、他府県では考えられないほど多種多様なコンセプトのカフェが点在するようになった。事実、「京都 カフェ特集」と銘打った書籍・雑誌が至る所で出版され、毎月のように書店で平積みされているのを見たことがある方は多いことだろう。

 

しかし、この「カフェ激戦区=京都」の現在を、その原点である「珈琲」という点で見ているひとは、いったいどれだけいるだろうか。

 

珈琲には様々な抽出法がある。ペーパードリップ、ネル(綿)ドリップ、エスプレッソ、サイフォン、フレンチプレス……等々。どの抽出法でも結果として出来上がるのは単語上「珈琲」なのだが、私はこれを全て一緒くたに考えることはできない。むしろ、それぞれ全くの別の飲物なのである。同じ野菜や肉でも調理法と調理器具が異なると全く別の料理になる。珈琲も当然同様なのである。それぞれはそれぞれの特性があり、味わい方がある。それゆえ、もし「珈琲を飲みたい」と思っても、それがどの珈琲を飲みたいのか、その時の気分によって変わってくるはずだ。

 

珈琲を楽しむために専門的な知識まで持つ必要はないが、少なくとも「この抽出法はこういう美味しさだ」という、自分の中の味覚的な美味しい軸を知り、そこからより自分好みの味を探してみるのが一興だと私は考えている。京都の珈琲のレベルは、他府県に比べてとんでもなく高い。その中で、寄り道しながら自分のための珈琲の味を探してみるのも、京都の楽しみ方の大切なひとつなのではないだろうか。

 

私の拙い経験上ではあるが、抽出法の中でも特に味わいの異なる『ペーパードリップ』『ネルドリップ』『エスプレッソ』の3つにおいて、自分の中の「軸」とすべき名店をここで紹介しておきたい(良い店が多くてかなり苦渋の決断ではあったが……)。自分好みの珈琲を探す旅の地図代わりとしていただければ幸いだ。

ペーパードリップ

喫茶どんぐり(烏丸丸太町)

「中庸」というに相応しい、酸味・コク・香り・甘味のバランスが見事に円い珈琲。ラテも絶品。

INFORMATION

店舗名

喫茶どんぐり

住所

京都市中京区少将井町250 ビルHANA 1F

営業時間

月~土:7:30~23:00(L.O.22:30)

日・祝:9:00~17:00

御多福珈琲(四条寺町)

いつでも誰でも美味しいと思える珈琲。飲んでほっとするとはこういうことだと分かる。店主の野田さんが淹れる美しいドリップ技術は是非カウンターで。

INFORMATION

店舗名

御多福珈琲

住所

京都府京都市下京区寺町四条下ル貞安前之町609

営業時間

10:00~21:30

※毎月15日が定休日

ネルドリップ

さんさか(烏丸御池)

※さんさかは2018年1月28日に閉店いたしました。

 

濃厚だけど苦くない。濃厚な甘味、コクそして後からふっと残る酸味。ネルドリップとは何かを教えてくれた名店。私はこの店の味に惚れ込んで弟子入りさせていただいている。

INFORMATION

店舗名

さんさか

住所

京都府京都市中京区間之町通り御池上ル高田町500 ポポラーレ御池1F

営業時間

9:00~18:00

エスプレッソ

WEEKENDERS COFFEE(三条)

旧店舗時の写真

エスプレッソは苦い飲み物ではなく、花のような香り・すっきりとした酸味等を楽しむ、奥深いものだと分かるはず。まずはカプチーノから是非。

INFORMATION

店舗名

WEEKENDERS COFFEE

住所

【富小路】

京都市中京区富小路通六角下ル西側骨屋之町560離れ

 

【焙煎所】

京都市下京区松原通御幸町西入ル石不動之町682-7

営業時間

 【富小路】

7:30-18:00
定休日:水曜日(水曜日が祝日の場合は営業)

 

【焙煎所】

土日のみ営業 / 10:00-17:00
定休日:月〜金

最後に改めて、京都と珈琲は切っても切り離せない。次回以降は「京都の珈琲店」をテーマに、1店ずつスポットを当てて所感を述べていこうと考えている。この文章を機に、京都の珈琲を改めてゆっくりと味わってみたいと少しでも思っていただけることを、私は願っている。

WRITER

植島 潤
植島 潤

京都のロックバンド、「閑話休題」のヴォーカル兼ギター。2017年12月、Ba.袴田有紀と「ふたりのうたとガットギターとベース」というアコースティックバンド編成で約2年ぶりに活動再開。珈琲に結構くわしく、素人ながら自家焙煎やネルドリップ、ラテアートもこなす。日々の珈琲屋巡りやおうちカフェの様子を記録したブログは、京都を中心とする珈琲店や雑誌社などから一目置かれているらしい。でも当方はバンドのほうで注目されたいの。

【閑話休題Official Website】http://kanwakyudai.com
【京都珈琲案内】http://ueshima.blog.jp

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岡安 いつ美
岡安 いつ美

昭和最後の大晦日生まれのAB型。大学卒業後に茨城から上洛、京都在住。フォトグラファーをメインに、ライター、編集等アンテナではいろんなことをしています。いつかオースティンに住みたい。

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