【シネマジプシー】アメリカ、ディープサウスぶらり旅6日目

【シネマジプシー】アメリカ、ディープサウスぶらり旅6日目

【シネマジプシー】アメリカ、ディープサウスぶらり旅6日目

見てきた映画は数知れず。本人すらも分からない。(1万本を越えてから数えるのをやめたから)人呼んでシネマジプシー・川端安里人。彼から「旧友に「映画を撮ろう」と誘われて、ロケハンでにアメリカへ行ってきた」と、アンテナ編集部に連絡と原稿が届いた。目に映るのものがこれまで見てきた映画とリンクする彼が、南米で見てきたものはどんなものだったのでしょうか。

 

全9日分の記録をお楽しみください。

【シネマジプシー特別編】アメリカ、ディープサウスぶらり5日目の記事はこちらから

いざ牧場へ

朝からBuc-ee’sに行く。夜とはまた雰囲気が変わり、陽の光の下で見るとまるでショッピングセンターのようだ。結局昨日同様に盛り上がってしまい、Buc-ee’sのグッズを150ドルほど買った。馬鹿か。ちなみにこの後給油するごとにO君とはBuc-ee’sないかぁと話をすることになる。

 

さて、ふと気づくと旅も後半だ。時間が流れるのは早い。今日は寄り道をせずにエルパソあたりまで車を飛ばすことにした。

テキサス南部の荒野といえば嫌でも思い出すのが西部劇だ、そして西部劇といえば牧場だ!そうだ牧場に泊まろう。

 

この日はこんな話から泊まれる牧場を探していた。見つけたのはXバーランチ・ネイチャーリゾートというところ。場所はエルドレードの郊外らしい。なに!ジョン・ウェイン&ロバート・ミッチャム主演の名作西部劇『エル・ドラド』の舞台になったところじゃないか!(西部劇初心者の人にでもオススメの映画です!)

 

O君が電話で確認したところオーナーは「到着時刻の頃には帰ってるから、勝手に入って勝手に泊まって」とのこと。人を信用しすぎじゃない?良いのそれで?テキサスカウボーイの懐の広さに驚きつつも、牧場まで車を走らせた。

その牧場は街から車で30分ほど離れた場所にあったので、メキシカンをテイクアウトすることにした。ソノーラという小さな町のメキシカンレストランに入り、テイクアウトすることを告げると「遠くから来たの?運転疲れたでしょう?作るのを待ってる間これをつまんで」とサービスでサルサとチップスを出してくれた。

 

別に『ブロークバック・マウンテン』を引き合いに出すつもりはないけれど、アジア人の男2人が牧場に泊まりに行くなんて話をしたら、もっと怪訝に思われるものだとばかり思っていた。道中のコンビニでもどこでも皆笑顔で迎えてくれるし、ハローと声をかけてくれる。優しい人たちの温かさに触れて、アメリカ南部へのイメージは簡単に変わった。

全く車通りのない道をしばらく走り、牧場には日の高い時間に到着した。この一週間近く朝から夕暮れまで運転し続けの僕たちは、久しぶりに羽を伸ばすことができた。広大な牧場内のコテージに人影はなく、聞こえる音といえば風の音くらいだった。

一応他にも予約客はいるようだが、まだ到着はしていないようだ。テラスにあるロッキングチェアでタバコをふかしながら、ワイアット・アープ気分を満喫した。

O君はドローンを飛ばしたり、貸切状態のプールで泳いだりしている中、自分は牧場散歩コースというのを見つけてそこを歩くことに。そこは散歩道というよりもはや荒野の中の獣道といった趣で、サボテンと牛糞に気をつけながら彷徨い歩いた。気づけばもう夕方だ。夕陽を眺めていると不思議と涙が出て来た。そろそろメインのコテージに帰ろう。

何があったか知る由もないが、他の予約客が来ることはなかった。つまり実質牧場を貸し切ったわけだ。メインのコテージで温め直したメキシコ料理を食べながら、お互いこの旅の充実具合を語り明かした。予定よりも遅れているのでエルパソへの道のりの計画を立て直した。

WRITER

川端 安里人
川端 安里人

1988年京都生まれ
小学校の頃、家から歩いて1分の所にレンタルビデオ屋がオープンしたのがきっかけでどっぷり映画にはまり、以降青春時代の全てを映画鑑賞に捧げる。2010年京都造形芸術大学映像コース卒業。
在学中、今まで見た映画の数が一万本を超えたのを期に数えるのをやめる。以降良い映画と映画の知識を発散できる場所を求め映画ジプシーとなる。

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EDITOR

岡安 いつ美
岡安 いつ美

昭和最後の大晦日生まれのAB型。大学卒業後に茨城から上洛、京都在住。フォトグラファーをメインに、ライター、編集等アンテナではいろんなことをしています。いつかオースティンに住みたい。

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