気付けば旅日記も14回目、明日で終わりかと思うと寂しくなる。
モロッコが色々衝撃的だっただけにヨーロッパはかなり穏やかに暮らしてしまっている。よくない。ただヨーロッパは物価が高く、これ以上の旅は若干厳しくなってくるのでそろそろ帰国するくらいでよかったのかもしれない。
バルセロナ空港で身体をM字に折り曲げて寝たのが24時、目覚めたのが朝の4時だった。フライトが6:30であることを考えるとベリーナイスな時間と言える。昨晩は全くいなかった人々が早い時間にも関わらずすでにかなり集まっていた。今回のフライトはベーリング航空。名前の通りベーリング海を通っているのだろうか、LCCのようだ。同時刻や、ヴェニス行きより出発の遅いパリ行きやアムステルダム行きの受付は開いていたのにヴェニス行きはまだ開いていなかった。待つこと50分、ようやく受付開始。支払いはネットですませていたのであっさり行けるかと思いきや荷物代がかかる様子。持っていいか尋ねたところ、さすがにちょっと大きかったようで断られた。荷物の運送ひとつ35ユーロ。本当にヨーロッパに来てから出費がきつい。しかし無事にフライトできそうでホッとする。もうこの後は大きな移動がないのでかなり気楽になった。
活動時間が長いと腹が減る。朝5時にも関わらず腹が減っていた。目の前にはマックと謎のカフェ。マックはきついのでカフェにする。”NESTEA”という謎の紅茶がずっと気になっていたのでチョイス。パンは生ハムを1回も食べていなかったので生ハムパンにした。味はよかったのだが、NESTEA3ユーロ、パン5ユーロは高すぎる。空港怖い。
フライト前後に関しては申し訳ない、眠くてボーッとしていたのとあまり特筆すべきことはなかった。しかも飛行機が飛んだ瞬間から降りるまで爆睡したのでなにもイベントらしいものは起こり得なかっのだ。だがおかげで体力は回復した。
ヴェニスへ到着。これがヴェニス!しかし空港から海は見えない。いわゆる我々が想像するヴェニスへはバスか水上タクシーで移動しなければいけない模様。水上タクシーが25ユーロと激高のでバス一択だ。それでも事前情報よりだいぶ高い8ユーロだった。
スペインもそうだったのだけど、イタリアも空が高く青く美しい。また都市部から少し外れると長閑な田園風景が広がっており心地よい。ヴェニスも例にもれずそうだった。ヴェニスの地図を見ていただきたいのだが、ヴェニスに本島に入るには長い橋を渡る必要がある。ここから見る景色は絶景だ。自転車でも渡れるようで、とても気持ち良さそうだった。
短いバス移動を経て本島へ入島。すでに観光客で溢れかえっていた。この時点で時刻は8:50。まず宿に荷物を預けたいところだが、チェックインにはまだ早いのは確実だし、荷物を預かって貰おうにも今チェックアウトのラッシュで忙しいと予想されるのでモーニングでも食べてから向かうことにした。宿に向かって歩く途中でモーニングをしているカフェを発見。ピザが5.5ユーロと安めだったのではいることに。待つこと10分、1枚のマルゲリータが運ばれてくる。美味しかったのだが朝から食べるには量が多く、ちんたらと食べ終わったのは10時前だった。
カフェから宿は近かった。カフェから歩くこと10分、宿に到着する。早く着いたことを詫びたのちに荷物を置いてもよいかと聞くと快くオーケーしてくれた。ありがたい。チェックインは13:00とのことなのでそのまま1度街へ繰り出すことに。この街の魅力は言葉より写真だと思うので写真を多めに載せていきたいと思う。
こんな街見たことがない。至る所に水路が走り、風が通り気持ちいい。ただ水路をこえるには橋を探さなければならなかったり、観光客が馬鹿みたいに多くて街を歩くにはかなり手こずった。また観光都市のため、観光客向けの店も多いのだがそのほとんどで写真はNGだと言われてしまった。その中でも1番の特徴は仮面屋だろうか。この街のカーニバルでは仮面を被る習慣があるが、観光のポイントとして推されているらしく多くの仮面屋があった。値段はピンキリで、アラブ人が露店で売っているような柄なしは2ユーロから、きちんとした仮面屋のものは100ユーロを超えるものまで様々だ。結構デザインがよくて不覚にも欲しいと思ってしまった。
一通り街を歩いたあとに宿まで戻る。今回の宿はDomus Civicaと言う宿なのだが、業態としてはゲストハウスに近い。しかし部屋を押さえたのがギリギリだったため、最終日にしてこの旅初のシングルルームとなった。一泊38ユーロ。これでも観光都市ヴェニスの中では安いほうだった。昨日シャワーを浴びられなかったので浴びてスッキリし、宿でひと休憩挟む。ヴェニスもまた暑い。
正直僕はヴェニスになにがあるのかたいして知らずに来てしまった。なので先ほどもフラフラとなんとなく街を歩くだけの結果となってしまったのは反省すべきポイントだ。ただひとつだけ今は目的が出来ていた。”カジノ”だ。この街にカジノがあるらしく、空港でターンテーブル(キャリーバッグとかが回るあれね)がカジノのルーレットの模様になっていたりかなりプッシュされている様子。日本でも作る、作らんで揉めたりしていてしばらくできる機会はないだろうしここは一発経験しておきたい。
まずは腹ごしらえをする。腹が減っては戦ができぬ。道すがら適当なカフェに入りイカスミパスタを食べる。なんとなく変わり種も食べておく必要があると感じたからだ。10ユーロなので、日本で食べるのと同じか少し高いくらいか。食べたことがある人はわかると思うが、変わっているのは見た目だけで味は普通に美味しい。美味しいんだよねあれ。そしてこの時気付いたのだが、ヴェニスの飲食店の店員にやたら中国人が多い。なんでなんだろう。
口周りを黒く染め上げいざカジノへGO。カジノは北側の大きな通りにある。いくつもの橋を越え15分ほど歩き到着。直線なら恐らく5分くらいな気がする。カジノではもちろん中の写真が撮れないので、外観だけで勘弁をして欲しい。古い建物だが中は赤絨毯でSPが立っており、従業員もみなビシッと正装で決めている。だが安心して欲しい、僕はTシャツでも入れた。ドレスコードはないようだ。受付でパスポートを提示し会員登録する。この日の場代として10ユーロ払った。なにで遊ぶかと聞かれ1番ちびちび遊べるルーレットを選択した。他にはブラックジャック、ポーカー、スロットなどがある。ルーレットは3階のようで階段を上っていく。
3階のフロアに足を踏み入れた瞬間からめちゃくちゃ緊張した。僕みたいなシャバゾウはひとりもいない。みなスーツをビシッと着こなし高そうな時計を付けた老紳士ばかりだった。髭も大層立派そうだ。だが入場料を払ったからには遊びたい。まずは換金だ。今手元にある現金は約50ユーロ。明日の帰りのバス代が8ユーロなので40ユーロをチップへと交換する。チップの額は下から、5.10.20.50.100.200.500.1000ユーロとなる。僕は最安値の5ユーロのチップを8枚入手しいざ戦いの場へ。だがいきなり賭けるのは不安だったのでまずは様子見。一応ルーレットの説明をば。
・それぞれ黒と赤に色分けされた1~36の数字と緑の0の計37の数字が描かれたルーレットがある。そこにボールが投入、止まった番号が当たりとなる。
・台の上にもそれぞれ数字が書いてある。そこに自分のチップを置いて賭けていく。一回のルーレットでどこに何枚賭けてもよい。隣り合う数字、例えば1と2の真ん中に置いて両方に賭けてもよい。ただその分配当は低くなる。
・数字を当てるのに加え、黒か赤かで色を当ててもよい。これが最低倍率でレートは2倍。
・チップを賭けるのはボールが止まるまでなら、回っている最中でもいつでも賭けてよい。
みな基本的に数字に賭けていく。こちらは当たると大体10倍~15倍近い配当のようだ。だがその分当たりにくいので一回の賭けでチップを7.8枚は使っている。僕の命は8枚しかないので、ちんたらと赤黒でちびちびやっていた。みみっちいと言うなかれ、最低額とは言ってもこれ一枚で650円の価値があるのだ。これをポンポンと賭けられる彼らが金持ちなだけだ。
正直ここからは特に盛り上がりはなく、ズルズルと全てのチップを消費した。だが2時間近くも遊べたので案外満足度は高かった。そもそも僕はギャンブルが弱い。ギャンブルが強い人は頭がいい人だと思っていて僕はそうではない。更に言うと致命的に勝負勘というものがないという自覚もある。だけどカジノは楽しめた。日本にも作って欲しいものだ。
終わってから宿に戻る。なんとなく暇だったので受付のおっさんにここら辺で美味しいパスタが食えるレストランがないか聞いたところ、思ったより近場にあるとのこと。行ってみることにした。その店は”AL VECIO POZZO”という名の店で、少し外れた路地にある。周りに店はなく、道にはAL VECIO POZZOのテーブルが並ぶばかりだ。適当に席に座り、ベーコンとキノコのパスタとモヒートを注文する。店員のおっさんがイタリアではモヒートはモヒートではなく、”モレロ”だと教えてくれた。「言ってみろ」、と言うので「モレロ」と言うと、何故か僕の発音がウケたようで色んな店員からモレロモレロと声をかけられるようになった。みんな陽気すぎるが、不思議と嫌な感じはない。
そしてパスタとモレロが届けられる。パスタは自家製麺らしく、平たいモチモチたした麺でこれがめちゃくちゃ美味しかった。正直人生で食べたパスタでもかなり上位だ。キノコからも味が染み出てフォークが止まらない。モヒートも濃厚なのに爽やか、かなり美味しく、パスタとの相性も抜群だった。明日の昼もやっているようなので、最後にまた別のパスタを食べに来よう。
今日眠れば明日は帰国だ。帰りたかったはずなのに、とても寂しい。しかしあれだ、ひとり旅だと飯が食えん。もっとつまみたいものはたくさんあるのだ、ジェラートとかパン屋とか!次回は誰か連れて行くべきなのかもしれん。知っている人と言ってもあまり意味はないし、公募して全く知らない人と行くのも楽しそうだなあとか思ったりもする。
つづく