一通りブンディのターバンスポットを周ったあとは、隣町のデオリへ行くことに。デオリにも昨年撮影した人がいるらしい。ブンディ以外の街も気になるので、もちろん付いていく。
デオリまではバスで一時間、ひとり60ルピーほど。バスはひっきりなしにバス停に到着しており、15分に一本程度は出ている。行き先はバスにも、どこにも書いていないが、案内人のおじさんが笑えるくらい早口で行き先を連呼しているのですぐにわかる。録音しそこねたのを後悔するくらいには笑える。
めちゃくちゃ効率が悪そうだが、雇用を生み出す効果があるのだろうか。バスは案の定サスペンションなどほぼ役に立たず、写真は全く撮れないレベルで揺れていたことは付け加えておく。
デオリのバス停はブンディに比べ随分と賑わっていて、飲食の屋台がたくさん並んでいる。中にはブンディで見たことがない食べ物もあり、とりあえず食べてみることに。注文したのは10ルピーの鶏のピリ辛揚げ。「これ、なんか食べたことがある味だなあ」と思ったら、からあげクンレッドだった。あれに緑のパクチーのソースをかけて食べると、おそらくほぼ同じ味になるはずだ。揚げたてのからあげクンレッドがまずいわけがなく、分け合って一瞬で食べ終わった。でも実はこれ原材料は野菜らしい。インド人は基本的にベジタリアンなので肉料理は多くない。ここにいると肉はあまり食べずにすむのかもしれない。
バス停の賑わいを見る限りデオリの街の方がブンディより大きいかと思ったらそうでもないらしい。ブンディは旧市街地があり、歩行者用の細かい路地が多いが、デオリは一本の広い公道を挟んで両端にお店が立ち並んでいる。広い場所では地べたに野菜や、生活用具を並べて販売が行われていた。雷太さんもデオリは一度しか来たことがないらしく、昨年撮影したおじいちゃんがどの辺にいるのかわからないようだ。行きずりのターバンおじさんに声をかけつつ、街の人に写真を見せながら探す。
しかし、随分探してもおじいちゃんが見つからず、「もしや亡くなったのでは……」という言葉が脳裏をよぎった瞬間、なんと道の奥に昨年と同じ服装・椅子に座った状態のおじいちゃんを発見。その方に写真を見せるとそれは大層な喜びようで、柑橘系の味の飴までたくさんもらった。おじいちゃん・おばあちゃんの喜びの表現はどの世界でも飴を渡すことなのは何故だろうか。
その後はデオリの街をぐるりと周った。ブンディに比べ、人や車が少なく、心なしかのんびりとしている気がする。その分ゆっくりと街にいる人を撮影させてもらえた。中でも心に残っているのは、お役所の広場(お役所と行っても建物があるわけではなく、外に机と椅子があるだけ)にいた鼻輪を付けたおばあちゃんたちの集団である。人生ではじめて鼻輪がかっこいいと思った瞬間だ。どこかの宗教なのか、民族なのかはわからないが、品があって美しい。集団で固まってなにやら手続きをしながらお茶を飲んでいたが、声を掛けると心ゆくまで撮らせてくれた。